学校見学について「古い道具と昔のくらし」
学校の見学対応で最も多いのが最新の学習指導要領(H29.3告示、R2.4施行)の下記の文章に基づいた「古い道具と昔の暮らし」の単元のための博物館見学です。
小学3年生の先生から毎年依頼があるので、毎年使うパネルや道具を用意しておくと良いと思います。
身近な地域や市区町村の地理的環境,地域の安全を守るための諸活動や地域の産業と消費生活の様子,地域の様子の移り変わりについて,人々の生活との関連を踏まえて理解するとともに,調査活動,地図帳や各種の具体的資料を通して,必要な情報を調べまとめる技能を身に付けるようにする。
小学校学習指導要領(平成29年告示)より
私のところでは展示室がそこまで大きくないため、映像をみる班、体験班、展示室見学班と班分けをすることが多いです。
今回は体験と展示室見学の対応について私が普段意識していることを紹介させていただきます。
昔の道具に触れる体験
そもそもなぜ昔の暮らしや道具について学ぶのかというところですが、
「いまの自分たちの暮らしがいかに便利か」
ということを理解してもらうことだと私は考えています。
さらに、最終的には過去と現在を対比する中で現在と未来を比較する材料を小学生たちに持ってもらうことを目標にしています。
以下は、当館で実施している昔の道具体験の一例です。
①火おこしの道具
室内なので実際に火を起こすことはできませんが、パネルを使いながら火の起こし方について解説します。
②水を運ぶ道具
江戸時代に水や肥料などを運んだ道具に天秤棒があります。
両側に水をいれたペットボトルをいれて重さを体感してもらいます。
③ダイヤル式の電話
昔のダイヤル式の電話を触ってもらいます。
昔の道具体験では木槌など他の子のケガにつながる道具もあるので、最初にどんな道具か説明するときに周りに気を付けるように促して、学校の先生についてもらうなどしてください。
展示室での民具解説
展示室の民具が充実していることもあり、民具はまず好きなように展示や解説をみてもらって気になるものがあったら質問してもらう形式をとっています(複数人で対応できることが望ましい)。
初めて学校見学対応をした時には子供たちの食いつきがすごくて質問攻めにあったのが印象的でした。
子供たちの見学スタイルも様々で複数の展示をざっと見ていく子や気に入ったものをじっくりと観察する子など様々です。
質問攻めにあっているとなかなか難しいですが、私は博物館で学芸員さんからこんな話を聞いたなと思い出を作ってほしいので、「これ何に使う道具だと思う?」といった問いかけからはじめて1人1回は話すように心がけています。
また、すぐに答えを教えるのではなく、以下のような流れで子供たちが自然と道具について考えるようにしてみてください。
学芸員「この道具は何に使うと思う?」
小学生「分かんない」
学芸員「じゃあヒントを出すね。ヒントは服の手入れに使う道具だよ。ここに炭をいれて鉄の部分を温めるんだよ。」
小学生「もしかしてアイロン?」
学芸員「正解!!(大きく拍手)お家の人が使っているものはコードがついていて電気で温めるけど昔の人はアイロンを温めるのに炭を使ったんだね。(今と昔の違いに気づいてもらう)」
あなたの館ではどんな体験をやっていますか?また、将来学芸員になりたいと思っている方はどんな体験イベントをやりたいですか?ぜひコメントしてください。
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