☑️学芸員採用試験(歴史系)の専門試験の出題内容と対策について徹底解説

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専門試験は従事する職務に関する分野が出題される

今回の記事では専門試験の出題内容と対策について私の経験をもとにどんな問題が出るのか?対策に必要な教材は?勉強法は?といった疑問にお答えしたいと思います。

一口に歴史系の学芸員といっても受験資格は募集によって異なります。募集内容のタイプとしては以下のように大別されます(私見です)。

①専門(考古学、古代〜近現代)を問わない募集=日本史学専攻
→比較的小規模の自治体で自身の専門にかかわらずオールラウンドに業務を遂行することが求められる郷土資料館に配属されることが多い。
②専門の範囲がある程度限定された募集 例:文献史学(中世・近世・近現代)
→県や規模の大きい市の博物館で専門による分業がある館に配属されることが多い。特定の偉人や地域の産業をテーマにした博物館など歴史系だがピンポイントにその分野を専門にした人材を見つけるのが難しい場合もこうした募集の仕方をする印象です。
③考古学で発掘調査の経験があることを条件にしたものや中世・近世史専攻で古文書解読技能を有すること条件にするといった特定の専門を求める募集
→②と同じ。
④教育普及担当

当たり前ですがそれぞれの職種に合った専門試験となりますので、自分がどのタイプの職種を狙っていくのか、あるいは適性が高いのか自身の専門と照らし合わせながら考えてみてください。

語句の意味を問う問題(歴史系)

例題を出すと、
①宿場の本陣の機能について説明せよ。(100文字以内)
②次の語句について読みと意味を答えない。
瓦版 寺子屋 三行半

①のような受験する自治体の歴史に関する語句を問う出題はよく見かけます。対策方法としては、事前に展示をみて出題されそうなキーワードをノートにまとめておく、〇〇県の歴史シリーズ・自治体史を読んでおくという対策が有効です。

とはいえ全て出題予想を的中させるのは難しいのでまずは半分当てることを目標に取り組んでみてください。

②のように日本史の知識を問う問題も出題されます。これについては普段の勉強の如何に因りますので事前の対策は難しいです。

地域の歴史について記述する問題

上記の語句についての問題から一歩進んで地域の歴史について問う問題も出題されます。

例えば大きな藩があった地域では藩主やその家臣の功績、港町であれば交易の産物、地理的利点などその地域の特色について説明しなければなりません。

対策方法は先程の語句のときと変わりません。ただ語句の問題より出題予想がしやすいので確実に得点しておきたい問題です。

資料保存に関する知識

専門試験で高頻度で出題されるのが、資料保存に関する知識を問う論述です。

特に出題されがちなのは、温湿度管理・IPMの2つです。

この2つは「博物館資料論」でしっかりと勉強しておきましょう。
出題の仕方は様々な切り口がありますが、博物館資料に使われている材料の特質と適した保存環境、カビが生えやすい湿度の数字を頭に入れておきます。

近年では災害が起きたときに博物館学芸員としてどのように行動するべきかなど災害に関する論述も出題される傾向にあります。

博物館の教育普及事業に関する問題

近年では博物館における教育機能の活用を強化するため、教育普及担当(エデュケーター)を設置する博物館も増えています。

教育普及担当の仕事は館によって差がありますが、見学受け入れやイベントプログラムの企画運営を担う点はどの館でも共通しています。

博物館関係の授業で聞いたことがある人も多いと思いますが、「博学連携」は試験で最もよく問われるテーマです。一例として博学連携をめぐる課題として学校側の丸投げ・博物館側の一人よがりになりがちであることがよく挙げられますので、簡単ですが解答例を作成してみました。

【解答例】
博物館の利点は言うまでもなく、実物資料が見られる点である。見るだけでなく火おこし体験をするなど、博物館では新しい経験ができるため、学校で教えた知識と博物館での体験を結び付けることで知識に対する理解を実体験の伴ったものとして深めることができる。
教育普及担当は博物館と学校の窓口として、授業で生徒の理解度が低かった分野や関心が高くさらに理解度を深めたいなど学校の先生が抱える課題や要望をきちんとヒアリングし、よりよい見学授業ができるように準備をする必要がある。

他にも教育普及に関する問題としては、ボランティアや地域との連携なども問われることがあります。今回挙げたのはよく出題される問題の一例ですので、再度博物館教育論のテキストを読んで、論述で問われそうな分野をピックアップし、それに対するご自身の考えをまとめてみてください。

文書館と博物館の違いを問う問題

文書館の学芸員職の試験ですと文書館で展示をする意味、博物館における展示との違いについて問われます。

文書館での展示は社会教育が主目的ではなく、活動紹介の面が大きいですからこの目的の違いを盛り込めれば得点できるかと思います。

古文書解読

日本史の中世〜近代分野の募集では古文書解読・解釈の問題も出題されます。

出題される古文書ですが、基本的には博物館の常設展示に関係する古文書が出題されると考えてください。例えば千葉県内の博物館であれば「干鰯」や「醤油」に関連した古文書が出題されそうですよね。他に特定の偉人をテーマにしている博物館では書簡が出題されたことがあります。

いずれにせよ出題されるのはほとんどが館所蔵の古文書からですので、受験する博物館が扱っているテーマを意識して準備をすると良いでしょう。

作問パターンも様々で、全文解読•部分解読(傍線部)、傍線部箇所の読み下し•現代語訳•語句について問うものなど様々あります。

辞書の持ち込みは大学の講義の試験とは異なり「持ち込み不可」の場合が多いです。ですので日頃研究や仕事で如何に古文書解読をして演習量を稼いでいるかが鍵になってきます。一応、辞書持ち込み可能な募集も見たことはありますが、使わなくても得点できなければ合格は難しいです。

あらかじめ募集要項に古文書解読が出題されるかどうか書いてある募集もあれば、書いていない募集でも出題されたことがありました。

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